御堂筋税理士法人創業者ブログ

 本書はキリスト教を世界宗教に導いた使徒パウロの思想と評伝。私にとってはとても気になる存在でまずは新書で学びました。

 ユダヤの神学者パウロは元々基督教徒を弾圧してましたが、キリストが処刑された数年後(紀元33年ころ)、ダマスカス近くでキリストの召命に遭い、回心して以後異教徒への布教活動に専心した最初の神学者とも言われる人です。ルカが執筆したとされる使徒行伝にその事跡が記され、真筆とされる7通の手紙も新約聖書に収められています。

 私はパウロの手紙が好きです。それは彼の真摯さが伝わってくるからです。彼は12使徒の筆頭のペテロ、イエスの弟ヤコブなどのエルサレムにいてイスラエルを布教した使徒たちがやはりユダヤの伝統により律法を守ることにより神から義とされるという考え方に敢然と反対し、小アジアからギリシアに信仰により神から義とされるという救いの考え方で布教を重ねていきました。

 そんな中でもペテロやヤコブらとも粘り強いコミュニケーションを重ね、決して組織を分断しなかったことは、後の時代に重要な教訓を残したのだそうです。

 本書は簡潔を旨として書かれていますが、十字架に掛けられて処刑されたイエスを、人類の贖罪の証と見ず、パウロやその思想に影響されたアウグスチヌス、ルター、バルトらと同じく、神は人間に無条件の愛を注ぎ、その神を無条件に愛したイエス、結局は磔刑に処され、なぜ自分は死んで行かなければならないのかと絶叫したイエス、そのイエスを復活させた神、そこに啓示された神の意思、そしてイエスを信じる私たち、その信仰をもって神は私たちを義とされ、救ってくださるというのです。

 まだ真剣にキリスト教を勉強する覚悟はできていませんが、まずはイエスの生涯を福音書からでなく、史的存在として学んでみたいと思います。

 異教徒の私としては、基督教をついつい色眼鏡で見てしまうところがあります。壮大なイスラエル民族の選民思想による宗教と歴史書、その上に分派として現われたイエスの教えとその劇的な生涯、それに起こったとされる復活の奇跡、そこから布教してやまない攻撃的キリスト教の誕生と成長と巨大化、こうしたキリスト教の功績も罪障も私はまだ評価できません。

 フォイエルバッハは「人が神を創った」と逆転させたし、ニーチェは「神は死んだ」とスカッとするような死亡宣告を出してくれました。現代において知性ある西洋人でどれくらいが本気でキリスト教の教義を信じているのかかなり怪しいものだと、わたしの感覚から睨んでいるのです。

 Anyway、もう少し学びましょう。また報告します。

パウロ 十字架の使徒 (岩波新書) | 青野 太潮 | 宗教入門 | Kindleストア | Amazon

関連記事

Noimage 読書と修養

秋山さんの職人を育てる心得

Noimage 読書と修養

社長の勉強〜社長の哲学教室

Noimage 読書と修養

おじいさんの読書記ー『万葉集』その2

Noimage 読書と修養

管理の創始者、アンリ・ファヨールの歴史的名著にふれる

Noimage 読書と修養

ものまねから自分の力で考えるへの進化

Noimage 経営幹部の育成

雑感-老骨に鞭打って

Noimage 読書と修養

武教全書

Noimage 経営者へのメッセージ

小笠原がセレクトした経営者にお薦めする10冊の本