御堂筋税理士法人創業者ブログ

ひょんなきっかけから

吉田松陰の

『武教全書講録』を読む。

これは山鹿素行の

武教全書を

松陰が講義した記録である。

この話、そもそも

山鹿素行ってだれ?

ということがある。

次の絵は素行先生のお姿である。

なかなかやさしげやなあ。

武士のお仕事が

戦国時代の戦争から

平和になった江戸時代において

農工商を率いる指導者層

となった時代に

新たな武士のあり方を

示したものらしい。

内容は精緻を極めるが

その前に

小学、つまり入門編が

置かれている。

これは主にその解説である。

小学の内容は

・夙起夜寐(しゅくきやび)

・燕居

・言語応対

・行住坐臥

・衣食居

・財宝器物

・飲食色欲

・放鷹狩猟

・与受

・子孫教戒

とならんでいる。

正に生活のすべてである。

武士に向けて書かれたものであるが

われわれの日々のあり方にも

通じるところがあり

かなり勉強になった。

夙起夜寐が総論で

燕居(家にいるときの暮らし方)から

与受(支出・財政管理)までが各論

子孫教戒が

未来を担う子供たちの育て方

となっていて

致せりつくせりだ。

実はこれが前振りで

本チャンは全書であり

これは目次だけだが

ものすごい内容とボリュームだ。

将軍から兵卒までの人選

軍のルール

事前準備

戦場偵察など戦争前行動

日ごろの訓練

攻撃戦

守備戦

さまざまな戦いのしかたの細目

さまざまな戦いの状況における戦い方

その他雑目

となっている。

ちょっとだけ内容を覗いてみよう。

まず言葉についての戒めだ。

「言語応対は、志の適(ゆ)く所なり。

 …凡そ士の言語正しからざるときは、

 則ち其の行必ず狡(みだら)なり。」

これ素行先生の原文

「言語応対誠に切実なり。

 暫らくも是れを忘るることなくんば

 志士と云うべし。

 大要三件なり。

 礼に通じ、各々其の詞の品則を

 考ふる事第一件なり。

 常に語るべきの事第二件なり。

 断えて語るまじきの事第三件なり。」

これ松陰先生の解説

次に行ないについての戒めだ。

「行(こう)の一事に就いて説あり。

 『傍人に礙(さわ)らず、

  非礼を為さず、

  過言を出さず』の三語、

 血気の勇者は遽(にわ)かに聴いては

 服せざる事なり。

 血気の勇者は

 兎角道中にて行人に礙り、

 非礼過言をなし、

 終には大不覚を取り、

 面目を失ふ事多き者なり。」

まさしくオレのことだ。

道を歩くときは気をつけよう。

「行住坐臥、

 暫くも放心せば

 則ち必ず変に臨みて常を失ひ、

 一生の恪(かっ)勤、

 一事に於て闕滅す。」

(日常の生活において、

 少しでも正しい心を放ってしまえば

 変事に遭遇したときに

 必ず平常心を失い、

 これまで生涯をかけて

 積み上げてきた努力や功績は

 その一事で消滅する)

次に経営における金の使い方

「禄を以て人を取る

 皆是れ古の制なり。

 財禄ありと雖も

 与え施さざるときは、

 則ち士卒の来復なし。

 唯だ匹夫独身なり。

 与施分を超ゆるときは、

 則ち財竭(つ)き禄乏しくして

 武備又何ぞ整はんや。

 故に出納を計り度量を考へて、

 或は施し或は与ふ。

 是れ士たるの法なり。」

まさしくそのとおり

けちけちしていたらええ人材はこない。

さりとて分をこえて金を使ったら

疲弊するというわけ。

次に子供の教育法

「凡そ幼稚は

 精気全く備はるの節なり。

 先ず学を以て

 先聖の格言を覚(さと)さしむ、

 是れ古の法なり。」

古来、先哲の書を

そらんじさせるのである。

明日から、孫にそうしよう!

その基が夫婦のこと

「夫婦は人倫の大綱なりと。

 朱子の曰はく、

 夫婦ありて然して後に父子あり…」

素行先生の洞察力は

子弟の教育の基は

妻女の貞節にあると論じたところ

二夫に交えぬ、貞節を貫く母は

(まあこの節男もそうだが)

二君に交えぬ、志士を作るというわけだ。

なるほどと思う。

経営コンサルティングと会計事務所の融合

組織デザイン研究所&御堂筋税理士法人

税理士コンサルタント 小笠原 でした。


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