御堂筋税理士法人創業者ブログ

「腹落ちする」ということばがある。

経営者がよく会議などで使う。

主に部下の行動変容に関して

発言する場合によく耳にする言葉だ。

 

「腑に落ちる」ともいう。

言いえて妙なコトバである。

 

少し前に読んで

とても影響を受けた本が

グレゴリー・ベイトソンの

『精神の生態学』である。

 

そのなかで著者は

人間の学習パターンについて

3つの次元の学習があると

語っている。

 

第1のパターンは

ものごとそれ自体の学習だ。

知識やスキルなどである。

パターンとしてシンプルなので

シングル・ループ学習という。

なので、算数的に表現すると

y(進化の程度) =  a・x(かける時間)

となる。

 

 

第2のパターンは

ものごとの進め方の学習だ。

プロセス改善である。

ものごとの進め方だから

パターンとしては高等である。

人間にふさわしい学習だ。

なので、算数的に表現すると

y(進化の程度) =  a・x2乗(かける時間)
となる。

加速度がつく。

 

第3のパターンは

回心である。

回心とは、啓示や悟りといった

主に宗教経験を境に、

その人の人格や生活様式、人生などが

根本から一変するような過程をいう。

なので、算数では表現できない。

非連続の飛躍である。

量子力学では

クォンタム・リープという。

 

これが、

腹落ちではないだろうか?

腹落ちした瞬間とその後の変化である。

ここでは、人が変わるのである。

 

例えば、超悪ガキだった奴が

ある日突然優等生になり

クラスの

護民官になったような感じである。

「ええっ?ええっ?

 あの人どうしたん?」

てな感じである。

 

西洋キリスト教社会では

『使徒行伝』にある

使徒パウロの回心をもって

その嚆矢ととする。

 

その感動的なシーンを

福音記者(エヴァンゲリスト)の

ルカはこう記している。

 

「突然、天から光が彼のまわりに輝いた。

そして彼は地に倒れ、彼に対して

『サウル、サウル、

お前は何故私を弾圧するのか』

という声を聞いた。

 

彼は言った、

『主よ、あなたはどなたですか』。

声、

『私はお前が弾圧しているイエスだ。

だが立って、町に入りなさい。

すると、お前がなすべきことが

告げられるであろう』。

 

同行していた者たちは

ものも言えずに立っており、

その声は聞いたが、誰も見えなかった。

 

サウルは地面から起きて、

眼を開けてみたが、

何も見えなっていた。

 

それで人々は彼の手を引いて、

ダマスコスの中まで連れて行った。

三日の間彼は見ることができずにいて、

何も食べず、何も飲まなかった。」

(『新約聖書』田川健三訳より)

 

その後サウルは、イエスに召命され、

伝道のリーダーシップを担うことになる。

 

だから、第3のパターンの学習は

自己変革の起爆力である。

 

ちなみに、第2の学習パターンは

会社が

ええ感じの組織風土になる条件である。

 

そして、こうした風土を

『学び続ける組織』といい

不肖、わたくしめの目標である。

 

さて、この第3のパターンだが、

サウルのように、

イエスから目つぶしにあうほどの

強烈なフィードバックという

チョーラッキーな目に遭えばいいが

そんな幸運はなかなかない。

 

そこで大事になってくるのが

ふりかえりである。

ふりかえりは自分のおこないを

他者との関係や自分の良心に鑑みて

見つめなおすことをいう。

まあ、自己対話による

強制自己フィードバックである。

 

この思考回路が乏しい人は

残念ながら、第3の学習の可能性は

ほぼゼロに近い。

つまり、自己変革できないのである。

『残念』という感じである。

 

したがって、

管理者にはなれないので

(なぜなら自他の人間関係を

自分を変えることで

改善し価値を生み出す

ことができないから)

まあ一つ

職人として自己実現し

会社に貢献してもらいたいものだ。

 

もうひとつ大事なことが

『読書』である。

やっぱり、昔の偉い人に

教えてもらわんとね。

無知蒙昧な存在としては。

 

私もあるとき

ふと、人材育成のとてつもない

重要性に気づかされた。

 

それで、あれこれ

教育についての書物を漁ったものだ。

その中で、いくたびか

プチ・レーザー目つぶしにあった。

 

実は、いま

若い人の育成について

考え方と方法をまとめているのだが、

その冒頭、

人材育成の哲学と心がまえを

どうしても掲げておきたくて

あれこれと

目つぶし言葉の在庫を探った。

 

以下は、そのまとめである。

ご興味があれば、ご笑覧されたし。

 

□ 教育とは明日の社会を創ることである。

  (ジョン・デューイ)

□ 教育の根本目標は、

  一人ひとりの個性を発揮させ

  社会に有用な人材に育て上げることです。

  この目標に達するためには、

  教師は3つの段階を

  通過しなければならないのです。
  ➀ 生徒たちの一人ひとりを、

   一個の生きた魂として

   かき抱くということです。
  ② 自分の受け持っている

   子供たちの一人ひとりが、

   親の身としては実にかけがえのない

   大事なお子達だということが、

   真に実感としてわかるということです。
  ③ 一人残らずが、

   やがては民族の一員として、

   それぞれの角度から国家を支える

   ということです。                             

   (森信三先生)

□ 教育の到達基準は、

  成熟した人柄(倫理)と

  確実な能力(技術)である。
 (詠み人知らず)

□ 経営者は役割と

  期待される貢献でのみ定義される。

  それは教育者的な役割の有無だ。
 (ピーター・ドラッカー)

 

□ 父親は、息子が生まれるとまず、

 その子について

 できるかぎり最大の希望を

 抱くようにすべきです。

 なによりもまず乳母に

 誤った言葉を使わせてはいけません。   
 

□ 幼児にあって

 才能の顕著なしるしは記憶力です。

 …才能の次のしるしとなるのは

 まねる能力です。

 (クインティリアヌス)
 

□成長は、

 常に自己啓発によって行われる。
  自己啓発にとって、

 自己啓発に取り組んでいる上司ほど

 よい手本になるものはない。
 (ピーター・ドラッカー)
 

□ ローマの兵士にとっての軍事訓練は、

 流血なしの実戦であり、

 実戦は流血を伴う訓練である。

 ローマの兵士は、まるで

 武器を手に生まれてきたかのように

 訓練と演習に励む
  日々を送っている。
 (フラヴィウス-ヨセフス)
 

□ やってみせ、

 言って聞かせて、させてみせ、

 ほめてやらねば、人は動かじ
 話し合い、

 耳を傾け、承認し、

 任せてやらねば、人は育たず
 やっている、

 姿を感謝で見守って、

 信頼せねば、人は実らず
 (山本五十六)
 

このような認識は、

とても、一人の経験では出てきません。

腹落ちしました。

 

経営コンサルティングと

会計事務所の融合

 

組織デザイン研究所&

御堂筋税理士法人

 

小笠原

 

でした。

 


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