御堂筋税理士法人創業者ブログ

 要約

1 経営者の仕事、はつまるところアイデア発想と問題解決、意思決定である

2 問題解決、意思決定にはすじみちの立った考え方(論理的な思考)が必要である

3 論理的な思考には、大枠・具体的なものがあるが、先人の知恵である程度定まっており、それらを知り活用する方が経営で成果があがる

プロローグ

 経営はアートです。人とお金という経営資源を投入して経済的成果を挙げることが求められます。経営者は、日々の営みの中で必要な技能を体得し、またさまざまな方法で学びを深め技量を高めていきます。渋沢栄一翁は『論語と算盤』と言われましたが、まさしく経営では論理と情愛・直観が必要とされます。今回はその中で論理的な思考とは何か、いかに大事かについて考えたいと思います。

1 論理的な思考の重要性

 前回の本記事の話は問題解決と意思決定でした。それは問題の定義→分析→原因の特定→解決策の提示→最適案の決定→実行→確認と定式化、というプロセスを踏みます。そのそれぞれの場面で私たちはなるほどな、というすじみちの立った思考が求められます。それが論理的な思考です。

 私も毎月、クライアントの経営の会議に出ています。そこでは目標達成に向けた議論がなされます。メンバーの意見に耳を傾けていると、なるほどという意見もあれば、要領を得ない話もあります。やはり前者の方が説得力もありますし、解決が可能だと感じます。

2 論理的な思考とは

 思考法は3つに大別されます。①演繹、②帰納、③仮説です。①は幾何学の証明(例;ピタゴラスの定理)、②はあれもそれもそうだからこれもそう(例;ハクチョウは白い)、③はこう説明したらうまく説明できる(例;進化論)、といったものです。

 その中で、論理的な思考は①の演繹法に大いに関係します。余談ですが、それゆえ西洋では昔から上流階級では三歳になったら算数を学ばせたそうです。

 さて演繹法というのは、ユークリッドの幾何学がもっとも有名ですが、そこではある前提があってそれを組み立てていろんな証明をしていきます。しかしそんなことをわれわれに求められても大変です。そこで、思考のセットメニューが用意されています。それらを皆さんに紹介しましょう。

3 代表的な論理思考

 思考の本質は、ものを分類する→名前をつける→もの同士を関係づけるというものです。近世の哲学を切り開いた大哲学者ルネ・デカルトは思考法の教科書『方法序説』の中で、ものごとを理解可能なように細かく分けることを説いています。ですからものごとはまず細分化することで、それはとても大事です。

 第一の論理思考の技法はMECE(ミーシー)です。ものごとはもれずだぶらず細分化して考えるという思考の基本的態度です。探し物をするときに可能性のある処をしらみつぶしに探すというわけです。

 二つ目はピラミッド構造です。それはSCQと言われます。S(テーマ)→C(複雑化)→Q(疑問で展開)を通じて、問題を具体展開する方法です。極めてすぐれた手順ですのでぜひ意識してください。たとえば在庫が過多→場所とメカニズム→個別の対策などという形で考えを展開してきます。

 三つ目はロジック・ツリーです。例えば決算書分析では、総合指標は総資産利益率(利益÷総資産)です。それはPLの利益率とBSの総資産に分解されます。そしてそれらもさらに分解されます(下記図のとおり)。こうすると要素が洗いざらい示されますから思考に漏れがなくなります。パワフルな思考法です。

【ロジック・ツリーの例;利益感度分析】

 

四つ目はフレームワーク思考です。フレームワークとは枠組みのことで、すでに効果が証明されている問題アプローチ法で、たくさんの種類があります。とても便利で、ビジネスマンは自分の問題についてすべからくフレームワークを参照すべきです。詳しくはその手の本を見てください。例えば生産については稼働・品質・原価で考えるなどはその例です。

 五つ目はプロセス思考です。ものごとをプロセスに分けて考える方法です。たとえば営業の効果性などは訪問→提案→見積→受注というプロセスで、それぞれの量と質で考えればよいわけです。

 六つ目はシステム思考です。これは因果関係を解き明かす思考です。例えば退職者が多い→なぜかといった問題にアプローチする方法です。

4 論理的な思考を使って問題を解決していく

 問題には発見フェーズと解決フェーズがあります。その中で分析が重要になります。分も析もわけることです。分けて比べて時系列で追ってプロセスと因果を調べるのです。

 それを使うのは人です。そしてアイデアと意見が多いほどよい解決策が出ますし、また素人や外部者の方がとらわれがありません。したがってよき問題解決には、多くの関係者が集まり、気兼ねなく自由に意見を言える風土、心理的安全性がそのベースにあることが絶対の条件です。そしてそれは経営者・リーダーが創っているのです。そのことをくれぐれも忘れないようにしてください。

以上

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