ドラッカー経営を中小企業で実践する 第42回小笠原の実践ドラッカー流経営 - POST経営:O 組織のマネジメント
2026.06.06
お客様の支援
要約
1 計画経営を定めたら、次になすことは組織の確立である
2 中小企業では、この組織化が特に弱く、経営者は組織についてもっと勉強し、見識を持たなければならない
3 組織化について実行していくことは8つある
1 組織をきちんと作ることの大切さ
「マネジメントの存在は、脊椎動物の骨格だ」、つまり大きな体を支えるには骨格が要るとドラッカーは語っています。その2大要素が、経営計画中心の経営と組織の組立てだと私は思います。特に、組織に対する見識のなさが中小企業を凡庸な会社で終わらせていると私は感じています。
それはどういう意味でしょうか?ワンマンな意思決定、役割と権限の不明確さ、適性のない経営者などが会社を誤った方向性に導いたり、誰も守備範囲とせずさまざまなチャンスロスや致命的ミスを許したり、次の経営者を育てることができなかったりしているのを見ます。
皆さんの回りでもそうした現象を見ることはありませんか?さて、ではどうしたらよいのでしょうか?
2 きちんとした組織に必要な要素
(1) 経営のチームを決める
経営はチームでするものです。なぜならアイデアを出す・売る・作る・管理するなど、人には向き不向きがあるからです。野球やラグビーと同じです。
(2) 役割と権限を決める
チームを作ったら、そのメンバーに役割(守備範囲)をしっかりと決めます。最近はCXO(最高何とか責任者)が流行りだそうですが、当然のことです。ポイントは、役割を決めたら権限を持たせることです。
(3) コミュニケーションのしくみを整備する
経営という作戦の立案、決定、実行、反省などで、経営には濃密で迅速なコミュニケーションが必要です。取締役会、経営会議、プロジェクトチームなど、役割、メンバー、開催日を予め定めます。
(4) 次の経営者が育つしかけをしておく
ここが中小企業では特に弱いところです。経営者は実践で作られます。経営者になるには経営をするしかないのです。そのためにまず業績-損益と資金の状況を公開してものを考えさせることが必要です。さらにできる限り、ミニ事業的な組織にして損益管理をさせることが必要です。
(5) コーチングする
経営者、シニア経営者あるいは外部の専門コーチが経営チームメンバーのコーチングをします。経営=マネジメントは優れて複雑な要素で組みあがった極めて経験的な代物です。そのためにコーチングにより問題意識と認識を深めることが必要なのです。
(6) マネジメントの人材育成を行なっていく
マネジメントにはスキルや知識や心構えが要ります。そしてそれは教わらなければ習得できません。実際の計画経営というマネジメントの実践に加え、思考法、コミュニケーション技術、管理技術、リーダーシップの学びと訓練が必要です。
(7) 部門のマネジメントを適確に行なわせる
本能のままに自部門を管理(?)させるのではなく、マネジメントに必要な要素-部門の目標・計画・課題、メンバーの役割分担、コミュケーションのしくみ、業績の管理、職場環境と仕事の改善、人材の育成などについて、定見をもたせ、マネジメントが本来のマネジメントの仕事をできるように指導していきます。
(8) お金と地位のしくみ(人事制度)の形を決めます
人の管理とは、究極、お金と地位です。そこでストレスや不満が起こらないようにしておくことはマネジメントの基本です。
3 中小企業の組織化についてのいくつかの苦言
(1) 本気で人を育てようと思っているのか!
「人が育っていない」ではない、「人を育ててきませんでした」である。そのような痛哭な反省がなければ、ただその企業は消滅するか、売却するのみです。「経営者の仕事は教育者である」というドラッカーの言葉を肝に銘じていただきたい。
(2) 組織化の大事な時点
30人が一つのターニングポイントである。この時点でおおよそ5人からなる経営チームを確立する必要があります。次が100人の時点で、この時点で経営企画の機能が必要になるのです。
(3) 適性のない親族を入れない
会社はたとえ自分が100%株式を所有していようと、私物ではなく公器です。ドラッカーが『現代の経営』で述べているように、取締役になれそうもない親族は絶対に入社させてはなりません(最初から平社員で済ますなら可)。そうしたことで、組織の全員がロスする精神エネルギーは計り知れないのです。
(4) 起業した以上成長させること
これは私見ですが、成長しない組織は不可避的に衰退に向かいます。希望なき人生が死に向かうのと同じです。
4 結び
第11回、12回の本連載では、ドラッカーの組織の考え方について概略の話をさせていただきました。今回は『POST経営-計画・組織・風土・育成』というドラッカー経営の実践化の観点から、私が体験的に大事だと思う組織化のポイントを述べさせていただきました。きびしいことも申しますが後輩諸氏への激励とご理解いただければ幸いです。
以上