御堂筋税理士法人創業者ブログ

会計事務所のスタッフ、

とくに、法人の担当者の諸君に問う。

「君たちの仕事の目的はなにか?」

 

いわく、

「月次の帳簿を締めることです。」

「正しい決算書と申告書を作ることです」

 

確かにそのとおりである。

中小企業においては、

経理の専門知識をもった人材を

擁することはむずかしい。

それゆえ、会計事務所の価値がある。

 

わたし達の存在基礎たる

税理士法においても

税理士の使命として

「適正納税の実現」

が掲げられている。

 

そのために、わたし達は

試験に合格するために、

企業会計原則を学び、

各種の税法を学ぶ。

 

税理士に社会制度上

課せられた役割は

まさにそれである。

 

だが、生きた社会の中で

企業経営者から求められる

役割はそれだけだろうか?

 

もちろん、

公式の役割を前提とした上で

わたしはもっと異なる役割が

期待されていると思っている。

 

それは、

経営者に適確な

財務的な経営情報を伝え

よい会社にしていくために

ともに考え、工夫していく

ということである。

 

中小企業の経営者は

そうした情報を渇望している。

 

私はそれを、若いときからの

中小企業の経営者との

コミュニケーションを通じて

痛いほど感じてきた。

それはおおげさにいえば

悲痛な叫びともいえるものだ。

 

そして、私自身の

ささやかな経営体験からも

まったく同じ思いを抱いている。

 

したがって、事実上、

わたしたちに課せられた使命は

会計情報に精通する立場にあるがゆえに

その処理を超えた、

経営的意義と役割を果たすことである。

 

経営者は、

日々経営をしていく上で

自分の会社の業績を

知りたいと思っている。

しかもそれは

最悪の数字としてである。

 

ここの気持ち、心のさけびを

わたしたちは、

共感をもって共有し、

それを基に

仕事をしていかなければならない。

 

たとえば、

クライアントのお得意先が

倒産したら、

諸君はその損失を

どのようにリアルタイムで

月次決算に反映させているのか?

 

まさか、税法を盾に取ったり、

確定申告を盾に取ったりして、

処理を延期したり、半端にしたり

しているのではないだろうか?

 

諸君が職業会計人として

月次決算をサポートしていく上での

適確性を追求する原則は

どのようなものか?

そもそもたいへん失礼だが

原則を持っているのか?

 

税務署の原則を後生大事に

懐に抱いているようではだめだ。

 

月次決算が追求すべき数字とは何か?

正確な利益の追求という場合の

正確さの基準をぜひもってほしい。

 

その基準とは、

正しい限界利益、

すなわちその会社のGDPの把握

正しい固定費、

すなわちたれ流しの費用の把握、

そして、

それらを比較した差額としての

正しい利益の追求である。

 

そうしてこそ、

利益=売上高×限界利益率-固定費

という利益方程式における

収益構造が正しく示され、

 

それゆえ、経営者や幹部が、

わが社の月当たりの固定費を

正しく理解し、

そして

限界利益率を正しく理解し、

それゆえ、月当たりの

損益分岐点売上高を

理解することができる。

 

損益分岐点売上高を

日々、時間、分秒に微分し

それを基準として

売上や粗利益を追求する。

それが企業活動のベースとなる。

 

月次決算は、そうした

経営者や幹部、社員の方々の

日々の数字でものを考えることに

資さなければならない。

 

売上をきちんと計上できていない月次決算

棚卸も反映されていない月次決算

減価償却や賞与引当も

計上されていない月次決算

これらは、すべて月次決算とは

よべない代物であり、

単なる右と左を合わせた

何の思想もない

数字の寄せ集めにすぎない。

 

そもそも月次決算とは

月次で決算をすることである。

決算である以上

最低の要件を

備えていなければならない。

 

そして、その分析を通じて

なにをなしていくべきか

分析をし、対策の仮説を

考えられなければならない。

 

さて、そのためには、前提として

予算がなければならない。

数字というものは、

比較すべき基準があってこそ

有意味となる。

 

会社の業績を測る場合

それは予算である。

 

そうであるなら、今度は

予算が適切なものであってはならない。

では、予算のもつべき要件はなにか?

 

それは算定の根拠があるということである。

販売予算なら、顧客・製品・拠点などから

積み上げた数字である。

 

工場原価なら、

稼働率、工数、サイクルタイム

歩留り、材料価格水準、

不良率などから算定された数字である。

 

実績をこうした予算と比較して

差異を分析し、原因を特定し、

理由を推察できてこそ、

対策を思考できるのである。

 

そのためには、

当然に諸君は、その会社の

ビジネスモデル、

売上を作り出していくプロセスを

熟知していなければならない。

 

それでなければ、社長から

「先生、何が問題ですか?」

と訊かれたときに、

「売り上げを増やさなければなりませんね」

「じゃ、売上を増やす方法は

どうすればいいのですか?」

「それはわかりません。

社長が考えてください。」

といった子供の使い、

素人の対応しかできなくなる。

 

こうした意味不明さ、

無責任さ、勉強不足さが

世の経営者の方々が

われわれ、税理士事務所にもっている

不満の根源である。

 

わたしたちは、そこにするどい

感受性がなければならぬ。

 

生意気だが、私も、若いころ、

そのようなことしか言えない自分が

このうえなく情けなく、

歯ぎしりし、身もだえし、

地団太を踏んだものだった。

 

しかし、この無力感、焦燥感が

私の勉強の原動力となった。

 

「小笠原君

会計事務所の職員は

企業の医者でなくてはならないよ。」

と諭された。

 

だが、

ここまでのことが克服されたとしても

まだ月次決算は役に立たない。

それはなぜかわかるだろうか?

 

それは、月次決算は

しょせんは過去の数字だからだ。

過去の数字を穴の開くほど見ても

数字は変わらない。

 

数字を変えていくためには

未来の数字を見える化し、

それに対して

手を打っていかねばならないからだ。

 

そのためには、未来の売上が

わかるようにすることが必要だ。

 

業種や業態によって

売上の予測が正確にできるところから

ほとんどできないところまである。

 

しかし、それでも何らかの方法で

予測をしなければならない。

 

そしてそれを基に経営や営業活動を

していかなければならない。

 

未来の売上を掴み、考える。

それをフィードフォワードという。

その精度は、その会社の

営業部門の業務品質を的確に表わす。

諸君はそれをクライアントに求め、

ともに考えていかなければならないのだ。

 

一例を挙げると

工務店など建設業では

家を建てて引き渡した時点で

売上が計上される。

 

情報という観点から立てば

これは経営活動において

典型的な遅行指標である。

なぜなら、1年ほど前に、

努力して受注をしたものが

今ごろやっと

売上に計上されるのである。

 

その上、多くの税理士事務所では

施主から入金があった都度

それを売上として

計上しているありさまである。

 

そんなでたらめな

売上計上の処理は

会計基準のどこを

根拠に許されているのか?

そして、

それにより作られた試算表に

どのような価値情報があるのか?

 

私なら、

今月の受注額を売上として計算させた

受注ベース損益計算書をつくる。

今の営業努力が

今の業績に反映されるからである。

当然のことではないか。

 

また

月次決算のスピードも

追求していかなければならない。

 

何ヶ月も遅れるなどは論外だが、

月も半ばから終わりになって

儲けがわかったとて、

そんな数字は

気の抜けたサイダーのようなもので

何の価値もないといって過言でない。

 

諸君は、こんな状況を

当然のことと受け入れて

漫然と仕事をしてはならない。

 

月次決算のスピードは

その会社の全員の業務品質を

端的に表わしている。

 

月初、5営業日で

月次決算を組んでもらう

という気概を持ってほしい。

 

さらに、月次決算が

速く、正確になったとて

それで経営ができるわけではない。

 

ドラッカーさんは、

「経営に必要な数字は

月次決算の中にはない」

と断言している。

 

「それは市場における成果

経営資源の活動状況にある。」

とおっしゃっている。

 

それゆえ、

経営の活動と成果の

関係を数字で見える化した資料が

経営には絶対に必要である。

 

ドラッカーさんは、

中小企業の経営の

3つのポイントを挙げているが、

そのうちの一つが、

経営情報体系の整備なのである。

 

また、決算の方針についても

君たちは、

定見を持たなければならない。

 

諸君が手掛けた決算の利益は

筋肉質で、しっかりと未来の準備を

整えたものでなければならない。

 

諸君は

利益の定義を知っているだろうか?

 

利益とは未来費用である。

だから、決算は

従業員などの貢献に配慮し、

未来に準備し、リスクに準備した

シビアな利益を

追求することが必要だ。

 

決算書は、

得意先、仕入先、銀行など

利害関係者に対する

マーケティングの手段でもある。

そうした大向こうを意識して

適切な処理をしているのか?

だから、銀行の評点基準や

帝国データバンクの採点基準を

知っておかなければならない。

 

まだある。

企業の内部の業務のほころび、

不備から生じる

ムリ・ムダ・ムラに気づいているか?

毎月、経理システムや

業務システム、伝票を見ているなら

さまざまなことに気づくはずである。

 

それは宝の山であるはずだ。

債権管理、在庫管理、

業務処理、出納、資金管理など

わたしたちの力で損失を未然に防ぎ

利益を倍増させることだってできる。

 

そうした問題意識をもって

諸君が自らの仕事に取り組んだとき

諸君らの存在価値は

その会社にとって、社長にとって

かけがえのないものとなる。

 

会計人のだいご味は

まさにその点にあるはずだ。

 

最後にいいたい。

諸君は、自分の価値をわかっているのか?

 

会計事務所の職員の価値は3つある。

1.会計の専門家であること

2.完全に会社と諸君の利害が一致すること

3.外部者であること

である。

 

したがって諸君は、

誠実に、この職業倫理に忠実に

受任した業務に臨まなければならない。

 

仕事をするならば、

厳しい経営者のお仕事に

全力でぶつかっていこうではないか。

 

そこで諸君は鍛えられ、

お客様にさらなる価値を

提供できるようになるはずだ。

 

まかりまちがっても

価値観の低い経営者の

仕事をしてはならない。

それは諸君の品性を下げるとともに

他の善良なお客様にご迷惑をかける。

 

以上が、わたしが

諸君にぜひとも語りたいことだ。

会計人の質が上がれば

日本の企業経営の質が上がる。

それがどれほど価値のあることか

あらためて述べるまでもない。

 

ただ一度しかない人生を

会計人として生きていくなら

ぜひとも、志をもって、

考思してもらい、

昂然と進んでもらいたい。

 

経営コンサルティングと

会計事務所の融合

 

組織デザイン研究所&

御堂筋税理士法人

 

小笠原 でした。


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