御堂筋税理士法人創業者ブログ

 江戸時代末期、頼山陽の『日本外史』を拝読しました。

 岩波文庫で上中下の三巻、全1,250ページ!最後はヘロヘロになりながらようやくゴールしました。何分、名文過ぎて、知らない漢語ばかり、ほとんどあらすじしかわかりませんでしたが。岩波版は、現代語訳ではなく、漢文の原著の読み下し文ですが、それにしても、その漢文の格調の高さは窺い知れるところです。

 日本外史は、維新、明治を通じて、尊王思想に大きな影響を与えたとのことです。わたしなど、武家の歴史などほとんど知らないあんぽんたんでしたから、ものすごくよかったです。きょーよーの不足している一分野のピースを手に入れられた感じがしています。

 先月、荒井白石の『読史輿論』を拝読して、ただちに本書に取りかかりましたが、すぐに読まないととても征服できないと思ったからです。外史を読んでみて、頼山陽の趣旨は、多分に白石の思考を借りているように思いました。

 さて、読み始めて早々、山陽が参考にした本の名前が列記されていましたが、これが眩暈がするほどの量で、何百冊あるかしれません。何とか家々史といったような本の名前が連なっていて、ようこれだけ読んだなと思いますし、おそらくそれらを精読したのでしょう。とても常人のわざとは思えません。

 外史は、武家=民間の歴史をたどったものであり、平家、源氏→北条、足利、新田、楠、武田、上杉、後北条、毛利、織田、豊臣、徳川といった諸英傑の列伝となっています。

  書き方は、今読んでいる司馬遷の『史記』の筆法を踏まえています。まず、各家のオリジンから筆を起して、その一生を物語っていきます。そして、最後は、その事績に対する著者の印象、評価で締めくくっています。

 それぞれの英傑たちの評価ですが、もちろん、当時が江戸時代であり、徳川を礼賛していることは論を待たず、また徳川が新田の子孫であることから、新田および楠に筆が甘いわけです。まあ、それを割り引いても、徳川が諸先輩の栄枯盛衰を観察して、その完成形としての封建体制を確立したのですから、おおむねその評価は妥当ではないかと感じました。また、家康の人物像としても、バランスの取れた仁恕の人として描かれており、ある程度は好感を持ちますね。ちょっと美化しすぎやなあとは思いますが。

 その中でも、信長については天下統一を切り開いた人物として高く評価されているのは注目に値します。ただ彼の場合、残忍なところが玉に瑕というか致命的で、それゆえ光秀にAssassinateされてしまうのですが。それに比べるとやはり、猴(さる)、失礼、秀吉の場合には、才気煥発、それ群を抜いているのですが、あいにく下賤の出自で、それゆえ誇大妄想(朝鮮出兵)、浪費振りなど、まあ冷静に考えても、政権の持続は無理な感じですねえ。

 それにしても、以前にも書きましたが、これらの本は、経営者、特にオーナー経営者にはほんと、教訓になりますねえ。ぜひ現代語訳でも抄訳でも読んでほしいものです。

各列伝を読んで、殊に家康の行状、性質などから名君の行動パターンは、

・ 論功褒賞、信賞必罰を明確にする
・ 特定の人間を寵愛しすぎない
・ なにごとも部下に下問し、衆議決裁
・ 直言・諫言を認め、推奨する
・ できるだけ人を恕(ゆる)す
・ 熟慮する
・ 先頭に立つ
・ つつましやかに
・ 私利がない(尊氏)
・ 大局観をもち戦略的
・ 電光石火(信長や秀吉)
・ 同族・姻族をはびこらせ過ぎない(✖頼朝、〇家康)
・ 天子を敬うフォロワーシップ(〇信長、家康、✖北条、尊氏)

こんな感じかなあ。とても勉強になりました。

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小笠原でした。

 

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