御堂筋税理士法人創業者ブログ

要約

1 品質とは、顧客に提供する製品・サービスの全き有用性を保証するものであり、デミングは「品質は経営そのものである」と述べている
2 品質は生産性の大前提である。品質が定まってはじめて、最短のリードタイム・最少のコスト・最高の顧客満足、そして安全と士気が実現する
3 品質には、欠くと不満を招く消極品質と、あれば評価が高まる積極品質があり、狙うべきは顧客の期待に沿った妥当な品質である
4 品質は、既存品質のあくなき追求と、新たな価値を生むイノベーションという「両利き」で高める

1 品質の意義と必要性

 企業は、ドラッカーがいうように顧客を創造することで存続する。その顧客が対価を払う理由こそ、製品・サービスの有用性、すなわち品質である。デミングが「品質は経営そのものである」と喝破したゆえんだ。品質は顧客満足のおよそ八割を占めるといわれる。品質とは、顧客にとっての価値そのものなのである。
 そして品質は、生産性の大前提でもある。品質が安定してはじめて、ムダな手直しや不良、クレーム対応が消え、最短のリードタイム・最少のコスト・最高の顧客満足がもたらされる。品質なくして生産性なし、である。逆に品質が乱れれば、手直しと不良と信用の失墜が、せっかく稼いだ利益を一気に食いつぶす。
 なお品質には、欠ければ不満を招く消極品質(当たり前品質)と、あれば評価が上がる積極品質(魅力品質)とがある。狙うべきは顧客の期待に沿った妥当な品質であり、期待を超えて費用ばかりかさむ過剰品質は、価値を生まないコストにすぎない。

2 品質を高める方策 ― 徹底的にトヨタに学ぶ

 品質を高める最良の教科書は、トヨタ生産方式(TPS)である。その要諦は五つに整理できる。
 第一に、JIT(ジャスト・イン・タイム)。必要なものを、必要なときに、必要なだけ造り、提供する。第二に、自働化。異常が出たら止め、不良を後工程に流さず、工程の中で品質を作り込む。第三に、ムダ取り。ムラ・ムリ・ムダをなくし、平準化・標準化を進める。第四に、目で見る管理。第五に、チームで人材を育てることである。
 その土台にあるのが、トヨタ流の問題解決だ。問題とは「あるべき姿と現状とのギャップ」であり、これを数字で正確に定義し、八つのステップで真因をつぶして再発を防ぐ。肝心なのは文化である。トヨタでは問題は改善のチャンスであり、隠す人こそ叱られる。問題を出せる工場は毎年進化し、隠す工場は毎年劣化する。
 BtoCではさらに一歩進む。品質の条件は「体験>期待」である。顧客体験を研ぎ澄ますと同時に、事前期待を適切にマネジメントしなければならない。期待させすぎた宣伝は、良い製品すら不満に変えてしまう。

3 品質への取り組み

 これほど重要な品質だが、世の中小企業の多くは、品質を経営目標の数値として掲げていない。だからクレームも不良も根絶できないのである。数字の目標をもたないものが、実現するはずがない。
 ではどうするか。まず経営計画に、不良率・クレーム件数・手直し・顧客満足といった品質の目標を掲げることだ。そのうえで最高品質責任者(CQO)を任命し、全部門の代表による『品質向上プロジェクト』を組織して、高速のPDCAで回す。異常が一目でわかる「品質のコックピット」を設け、目で見る管理を徹底されたい。
 そして忘れてはならないのが両利きである。既存品質のあくなき追求(改善)と、新たな価値を生むイノベーション(積極品質の創造)は、車の両輪だ。今は問題がなくとも将来手を打つべき「設定型」の課題に、週に半日は時間を割いていただきたい。既存の改善だけに閉じては、いずれ市場に置いていかれるからである。

4 品質への取り組みのまとめ

 具体的な取り組みとして、私は次のことをアドバイスさせていただきたい。
① 最高品質責任者(CQO)を決める
② 品質向上プロジェクトを立ち上げる
③ 外部の専門コンサルタントを招聘する(製造業ならトヨタ系がよい)
④ 品質を数値目標化する(不良率・クレーム・手直し・顧客満足)
⑤ 品質のコックピットを設定し、目で見る管理を徹底する
⑥ 問題解決の八ステップを全社共通の手順にする
⑦ 自働化 ― 異常が出たら止め、工程内で品質を作り込む
⑧ ムラ・ムリ・ムダを排除し、平準化・標準化を進める
⑨ 「問題はチャンス」の文化をつくり、隠す人でなく出す人を評価する
⑩ 既存品質の追求とイノベーションの両利きで、積極品質を生み出す

  品質こそが生産性と顧客満足の大前提であることを、ぜひ腑に落としていただき、御社の永続と発展のために取り組んでいただきたい。現在の品質水準に満足した瞬間から、企業の劣化は始まる。品質を制する企業が、市場を制するのである。皆さんの取り組みに期待したい。

以上

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