人材育成の哲学をまとめております。
2016.10.23
経営者へのメッセージ
来月の9日に
りそな銀行様の神戸支店で
ドラッカーのセミナーをします。
今、その準備で
テキストを改訂しています。
その中で
人材の育成について
もつべき考え方を
古今の名言から
まとめてみました。
まずドラッカーさんに
大前提を語ってもらいました。
「経営管理者は
役割と期待される貢献でのみ定義される。
それは教育者的な役割の有無だ」
さて、そうだとすると
まず経営者は、
どのように人材教育を
進めるべきでしょうか?
「父親は、息子が生まれるとまず、
その子について
できるかぎり最大の希望を
抱くようにすべきです。」
「なによりもまず
乳母に誤った言葉を
使わせてはいけません。」
ローマの
クインティリアヌスの言葉です。
これはどういう意味でしょうか?
それは
➀まず新入社員に期待する
ということです。
次に
②よき先輩に
育てさせるということです。
決して、不適格な
先輩につけてはなりませんよ!
さらにクインティリアヌスに
具体的に何をさせるか
語ってもらいましょう。
「幼児にあって
才能の顕著なしるしは
記憶力です。
…才能の次のしるしとなるのは
まねる能力です。」
つまり
➀ものごとを覚えさせる
=試験する。
②真似をさせる。
つまり守・破・離の守ですね。
さて、では
経営者は人材育成に際し
どのような心がまえが
必要でしょうか?
これはぜひとも
わが師である
森信三先生に
語っていただきたい。
「教育の根本目標は、
一人ひとりの個性を発揮させ、
社会に有用な人材に
育て上げることです。
この目標に達するためには、
教師としては、3つの段階を
通過しなければならないのです。
➀生徒たちの一人ひとりを、
一個の生きた魂として
かき抱くということです。
②自分の受け持っている
子供たちの一人ひとりが、
親の身としては
実にかけがえのない大事な
お子達だということが、
真に実感としてわかる
ということです。
③一人残らずが、
やがては民族の一員として、
それぞれの角度から
国家を支えるということです。」
すばらしい見識だと思いました。
そこで、
教育と訓練の精神についてですが
これはローマ軍を範としましょう。
「ローマの兵士にとっての軍事訓練は、
流血なしの実戦であり、
実戦は流血を伴う訓練である。
ローマの兵士は、
まるで武器を手に
生まれてきたかのように
訓練と演習に励む日々を送っている。」
ユダヤ人、フラヴィウス-ヨセフス
の印象記です。
そのためには
経営者は自分に対して
どのような姿勢であるべき
なのでしょうか。
リーダーシップの
最高の教科書は
孔子の礼記中の
「大学」だと思います。
その要諦は
「修己治人」
己を修めて、人を治める
というものですが、
ギリシャ人、
ディオン・クリュソストモスは
次のように語っています。
「善き王とは、
治められる者を教え導き、
彼らのために慮る
…できるかぎり
自分と臣下の者のために
心を配りつつ、
民の本当の牧者、羊飼いに
なるためなのであり、
プラトンも言うように、
宴の主や客になるためではない。
寛ぐ暇もないゆえに、
夜中、自分に眠ることすら許さない、
という人間になるためなのだ。
…だからホメーロスもいうように、
邪で放縦で貪婪な者は、
けっして自分をも他人をも
治め支配することはできず、
またけっして王になることもないだろう。」
つまり、
自分が個人的に
ええ目をしたいということでは
わりに合わない商売だ
ということです。
ドラッカーさんに戻りましょう。
人間の成長は
自己啓発によるのですが、
そのために
もっとも効果的なことは
目上が手本を見せる
ということです。
それゆえ
次のような名言を
残しておられます。
「自己啓発にとって、
自らの自己啓発に
取り組んでいる上司ほど
よい手本になるものはない。
…部下をくじけさせる上司、
人ができないことに目のいく上司、
成長につながる経験を
積ましてくれない上司ほど、
自己啓発の邪魔になるものはない。」
「成長は常に
自己啓発によって行われる。
…マネジメントたるものはすべて、
共に働く者 それぞれの
自己啓発努力を助けることについて、
責任を与えられなければならない。」
「今日の経営幹部にとって、
明日の経営幹部を育てることを
期待されることほど、
幹部自身の意欲、ビジョン、成果に
効果のあることはない。
…他者の自己啓発を
助けることほど、
自らの自己啓発に役立つことはない。」
「自らに対する要求水準が上がるのは、
他者の成長に力を貸すときである。
いかなる職業においても、
そこで最高の業績をあげている人達は、
自らが訓練し育てた人のことを、
自らが残すことのできる
最も誇るべき記念碑と見ている。」
最後に教育とは
どのような意義・使命があるのか
アメリカの哲学者
ジョン・デューイに
語ってもらいます。
「社会は、
生物学的生命と全く同じ程度に、
伝達の過程を通じて存続する。
この伝達は
年長者から年少者へ
行為や思考や感情の習慣を
伝えることによって行われる。
集団生活から
消え去って行こうとしている
社会の成員から
集団生活の中へ
入って行こうとしている成員への、
この理想や希望や期待や規範や意見の
伝達なしには、
社会の生命は、存続できないだろう。
かりに社会を構成する成員が
ずうっと生き続けるとしても、
彼らは新たに生まれてきた成員
を教育するかもしれないが、
それは社会的必要ではなく、
むしろ個人的関心によって
導かれた仕事となるだろう。
だが、そうでないからこそ、
教育は必須の仕事なのである。」
つまり教育とは
未来のわが社を作ることなのです。
30年後、
あなたはこの会社にいますか?
50年後
この会社を担っていくのは
誰一人として
あなたが知らない誰かなのです。
だからこそ
育成は私たちの
本務なのです。
教育が本務な人間を
人は教育者と
呼ぶのではないでしょうか。
だから、私もあなたも
教育者なのです。
経営コンサルティングと
会計事務所の融合
組織デザイン研究所&
御堂筋税理士法人
税理士コンサルタント
小笠原でした。